Q&A
Q:狂犬病の予防接種は必要ですか?
A:現在国内での狂犬病の発生はありません。このことは、関係各機関歴代担当者諸兄の病気撲滅へのたゆまぬ努力(犬輸入時の検疫、登録:予防接種の毎年実施、野犬の捕獲など)の賜といえます。しかし、一般社会と愛犬家(犬飼養者)の意識低下により、予防注射の接種率は低下の一途をたどっています。
県動物愛護指導センターの調査によりますと、引き取った不要犬の狂犬病抗体保有率は、40%台まで落ち込んでいるそうです。一般に伝染病発生時の伝搬阻止のための抗体保有率は、70%以上だと言われていますから、栃木県の状況は怖いものがあります。全国レベルでも同様かと想像しています。
当ホームページでもご紹介していますが、海外での狂犬病発生状況並びに国内各地の港での外国船船員が連れてきた犬の自由な出入り状況、輸入動物の無秩序な増加など、明日にでも感染動物が国内に進入しない保証はどこにもありません。
一端国内の、コウモリを初めとする野生生物に病気が定着してしまった場合には、ただでも数の激減している野生動物の絶滅、一般家庭犬の強制的移動禁止措置並びに注射の実施、知識欠如による感染動物への接触から感染者の続出など、国内のパニック状況が想像容易な現況と言えます。
Q:最近の腎不全
A:老齢になる前に腎不全になってしまう症例を時折診ます。しかも慢性の腎不全で悲しい結果に終わるケースが多く、慢性疾患の難しさを強く感じています。こういう場合、飼い主さんのお話を注意深くお聞きしていると、加工食品を与え続けている例の多いことに驚かされます。『カニかまぼこ』等の練り製品『サラミ』等の加工食肉製品を何年も食べ続けていたと聴き、食餌管理の重要性を改めて痛感します。最近世界中で危険な食品の話題を耳にして、安全な食品について考えさせられます。そして、今回ご紹介した腎不全の例などは、人間にとって安全と思われている食品の、その慢性毒性試験を小さな動物達が代わりにしてくれている気がしてなりません。室温に放置して何日も腐らない食品には、何か別の意味で危険が潜んでいると思います!小さな犬や猫に加工食品を与えるのはやめましょう。
Q:フィラリアの予防薬は種類が色々あって迷ってしまいます。どれを使えばよいのでしょうか?
A:フィラリアの予防は、当院のある栃木県南部地域では、5月から11月までしっかり予防すれば大丈夫です。予防薬には様々な製剤があります。月1回の内服薬が発売されて久しくなりましたが、6ヶ月有効とされる『注射』の製剤とか、毎月首筋に滴下する『スポットオン』製剤など色々選べます。ワンちゃんの好みや飼い主さんの事情によって選んでいただければ宜しいかと思います。
当院では、注射製剤はショック死の症例報告があるため使用しておりませんが、お薦めはやはり確実性、安全性、使い易さなどからジャーキー(チュアブル)タイプです。
今年になって、いわゆるジェネリックの“ジャーキータイプ”が発売されました。早速当院の居候たちで試食会を行いました。すると一様にニオイを嗅いだ後、首をかしげられてしまいました。空腹時にこれですから、普段から美味しいモノを貰っているグルメ族には敬遠されそうなので、2007年度は有効性、嗜好性の不安なジェネリックの使用を控えることにしました。
しかし、いくら確実なメーカー品『カルドメックチュアブルP』を使うと言ってもです。安値が命のジェネリックを使わないで例年通りの価格では飼い主様に申し訳が出来ません。そこで、仕入れ先の業者さんにお願いして、(最初から価格競争では泣きが入っていた担当者をさらに大泣きさせて,最後にはクビ覚悟で上司と喧嘩したようですが、)仕入れ価格を下げて貰いました。ですので昨年よりも大分お得な価格になったのではないかと思います。((これが企業努力というモノでしょうか?))
処方回数や混合ワクチンとのセット価格でシーズン料金が決まりますので、お問い合わせは直接当院までご連絡下さい。
Q:うちの飼い猫ですがトイレから出てきません。うなり声も上げています。どうしたのでしょうか?
A:ネコ下部泌尿器症候群(Feline.Lower.Urinary.Tract.Disease.)と呼ばれている疾患ですね。ご質問のネコちゃんは多分オスでしょう。
猫のトイレの異常事態は、オスとメスでは全く考え方が違います。メスは一般的に細菌性膀胱炎が多いようです。こちらはお薬と食事療法で気長に治してゆく場合が多いですが、オスの場合はそんな悠長なことをいっている時間がないケースがあります。
寒くなってくると運動量が減り、飲水量も少なくなります。トイレへ行く回数が減るために尿が濃縮します。普段ドライフードを常食にしているオス猫がこの状態になると尿路結石が出来やすくなってしまいます。粗悪なフードの原料の魚粉に含まれるマグネシウムが原因です。冬場のホームセンターなどでのフードのバーゲンセールの後にこの疾患が立て続けに来るのをよく経験してきました。
オス猫の尿路結石の多くは、細かな粉状のリン酸アンモンマグネシウム結晶(ストラバイトとも言われます)なのですが、これがペニスの先端付近に詰まってしまいます。こうなったらさあ大変!尿閉(排尿困難状態)が続くとたちまち腎不全を起こし、尿毒症と極度の脱水症状で虚脱状態に陥り、数日で心不全のため急死してしまう場合もあります。手遅れにならないうちに一刻も早く排尿させてあげないといけません。ご質問のような状態になったときは、オス猫だったらすぐに病院へ直行した方が無難です。
当院ではこんな場合、ペニスの先端から細いカテーテルを入れて、尿道から膀胱に貯まっている粉状の結石を吸い取ってしまいます。危険な状態なので全身麻酔などはかけませんが、処置前まで苦しんで唸っていた猫ちゃんが、導尿と膀胱洗浄が終わる頃には、スヤスヤと眠ってしまう子が殆どです。それほど苦しくて眠れなかったのでしょうね。
膀胱が破裂寸前のまま時間が経過してしまうと、しばらくは収縮できなくなってしまいますので、そんな場合はそのままカテーテルを膀胱に留置します。しかし、猫はカテーテルを自分でくわえて取ってしまいますので、エリザベスカラーをして入院していただきます。数日で膀胱の収縮力が回復してきますので、それまで腎不全の点滴治療を同時に行います。このような治療で回復したオス猫ちゃんは、以後、結石専用の療法食で飼い主さんに管理していただいています。療法食を与えている限り再発は完全に防げますが、なぜか元のドライフードに戻してしまう懲りない飼い主さんも見受けられます。
再発を繰り返して尿道狭窄を起こしてしまうと、もうこの方法では治療不可能になります。外科手術(ペニスカット)で尿道を作り直さなければならなくなります。この処置法は最後の手段ですので、こうならないように食事管理をしっかりしていただきたいですね。
聞いたところによると、いきなり最初から手術を薦められる病院があるそうですが、手術しても結石体質が変わるわけではありません。市販のフードを与えると膀胱炎を繰り返しますので、結局療法食で管理しないとならなくなってしまいます。手術をするか、しないで食事管理できるかは、飼い主さん側の問題ですが、当院では最初から手術は絶対に薦めません。術後の膀胱炎の危険はそんなに減らないので、長い目で見ると食事管理で行った方が猫ちゃんも飼い主さんも何回も嫌な思いをせずに済むのではないかと考えます。
Q:人獣共通感染症について知りたいのですが?
A:世界中には、本当に多くの人獣共通感染症があります。国際交流が盛んな現代は、何時、何処でこれらの感染症に遭遇するか判らない危険な状況だと言っても過言ではありません。また法律の不備や、個人の知識の無さから不用意な見知らぬ動物との接触接近など、世界の中の数少ない清浄国であるが故の思わぬ落とし穴がそこにあり、自分自身がいつ被害者になるか分からない危険性が十分考えられます。日本国内でも遭遇することが有る怖い感染症もいくつか揚げられていますので、知っていると大変役立つことは間違いありません。下記のリンク先で詳しく解説してありますので、ご参考までに。
http://www.bayer-pet.jp/pet/zoonosis/
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou11/01.html
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/ProfYamauchi.html
http://www.anicli.com/~vet/zoonosis.html
Q:犬のフィラリアは猫や人にも感染すると聞きましたが本当ですか。
A:フィラリア症は本来犬科の動物の病気です。しかし近年の獣医学の進歩と研究により、猫の感染も報告が出てきました。症状は、慢性的なしつこい咳や呼吸困難、嘔吐、元気消失、また原因不明の突然死等です。
幸い大変有効な予防薬が発売されました。レボリューションという製品名で発売されています。月に1回の使用で、ミミダニ、蛔虫、ノミ、そして猫のフィラリア症まで予防ができます。是非とも使っていただきたい製品ですね。
余談ですが、当院院長は埼玉での代診時代(1976~81)に、偶然猫の血液検査で、ミクロフィラリアが血液中を泳いでいるのを発見し仰天した経験があります。その子はいわゆる犬のVCS(急性大静脈症候群)で、貧血、黄疸、腹水、心雑音などひどい状態で持ち込まれ、手術の猶予もなく死んでしまいました。そして、残念なことに飼い主さんの了解を得られず、感染の検証ができずに終わってしまいました。
人医学の分野でも、滅多にはないと思われますが、肺ガン検診で影が見られ、切除した中から虫体が採集された症例などの報告もあるようです。
フィラリア症の予防が浸透してきた現代では、昔のような濃厚感染の機会はなくなりましたが、かえって、本来の終宿主である犬のオカルトフィラリア症といわれる、診断しにくい症例が増えてきているようです。飼い主さんには、いっそう予防の徹底をお願いいたします。
Q:ホームセンターやドラッグストアで売っているノミダニ駆除薬は、全然効かないものが多いのですが、動物病院で扱っている製品は同じものでしょうか?
A:以前は首輪や粉剤が中心でしたが、最近は首筋に滴下するスポットオン製剤が主流になってきています。見た目は全く同じに見えてしまう製品もありますが、中身は全く違うといって過言ではありません。メーカーさんも必死になって効果の違いを叫んでいるようですが、なかなか一般世間には声が届いていないようですね。
動物病院で扱っている製品は、ノミに対しては、1~2ヶ月に1回、落ちにくいマダニに対しても1ヶ月に1回の処方で完全に防ぐことができます。
最近は、住宅地に近い公園や散歩の途中でも寄生の機会が多くなってきているようですが、多くの飼い主さんがご自分の飼っている犬猫にノミやマダニが寄生していることに気がついていないケースが目立ちます。しっかりした金櫛が一本あればできる日頃の“被毛の手入れ”で、簡単に解決できる問題ですから是非実行していただきたいと思います。金櫛はホームセンターでも本物を置いている所もありますから、よく探していただいて是非1本用意しておいて下さい。
Q:仔犬・子猫のワクチンの時期を教えてください。
A:ワクチネーションのプログラムには諸説ありますが、子犬(子猫)は、生後4~6週齢くらいまでは、免疫力が未熟で、この時期にワクチン接種しても、抗体産生は期待できません。
母乳(初乳)からの移行免疫が低下してきて、免疫力の形成がしっかりしてきた7~9週齢で1回目のワクチン接種します。移行免疫が強くて1回目のワクチン効果が不発の場合もあるため、12~15週齢で2回目の接種をしてあげるのが一番効率的ではないかと考えております。
母乳(初乳)をがんがん飲んで育った元気な子は、少し遅めに、逆に飲んでいない子は、少し早めに接種する必要があるということですね。
Q:犬の耳が腫れてぶよぶよしています。触ると嫌がります。病気でしょうか。
A:それは、いわゆる耳血腫という病気でしょう!原因は不明のことが多いですが、最近では免疫異常で発症するのではないかと言われるようになりました。
耳は皮膚の下に軟骨があってその軟骨は本来1枚なのですが、その軟骨が表と裏にパッカリ割れてしまうと言いますか。その割れた隙間に血液成分の混じった漿液が貯留します。
放置すると耳殻が拘縮変形してしまいます。漿液を穿刺吸引して、内科療法で治ることもありますが、重症例は切開縫合などの外科治療が適用と思われます。
Q:避妊手術や去勢手術は、いつ頃受けるのがよいですか?
A:生後あまり早い時期に手術をするのはお勧めできません。泌尿生殖器の形成が終わる生後大体6ヶ月以降が良いかと思いますが、はっきりしない場合には、ペットちゃん達の口の中をのぞいてみて下さい。牙(犬歯)が、おとなの歯(永久歯)に生え替わっていれば大丈夫です。最近は、栄養価の高いフードを使うために、成長が大変速い傾向が見られます。小型犬や猫ちゃんは、乳歯が残っているうちに発情期が来てしまう子も時々見られます。発情は病気ではありませんので、手術は可能です。サカリが終わってからなどと言っているうちに、お腹が大きくなってくることも多いので、こんな時は早めに手術をお考えになった方がよいのではないかと思います。
一年の内でいつ頃がよいかという意味では、季節的な良否はあまりありません。一般に犬の繁殖期は春と秋、猫は冬と言われていますが、当院での手術件数もこの時期が比較的多い傾向にあります。皆さん、発情期になってしまって急いで手術するようですね。
手術をお考えの場合は、まずお電話下さい。お受けする日取りを決めさせていただきます。
手術前日までは、普段の生活をしていただいてかまいませんが、手術当日は、朝ご飯は与えないでご来院ください。午前中に受付していただきますと、午後から手術となります。小型犬や猫ちゃんは早ければ、夕方にはお帰りできます。ワンちゃんは、体が大きくなるほど麻酔の覚めが悪いので、一晩お泊まりになる場合もありますが、基本的には、飼い主さんのご希望と自力でしっかり歩けるようになればお返ししています。
術後にお帰りの場合は、自宅療養を約1週間ほどしていただきます。術後治療の内服薬の投与と、傷口と縫合糸を舐めないように管理していただくことになります。メスは、腹帯を着けて返しいたしますので、それを10日くらい取らなければ大丈夫です。オスは内服だけの管理で大丈夫です。
抜糸はしませんので、異常がなければ再来院の必要はありません。3週間ほどで糸は自然に取れるようですが、その前に自分で抜糸してしまう子が多いようです。ごく希に、アレルギーで縫い目が腫れる場合がありますが、抜糸をすると自然に収まる場合が殆どです。